当院では、消化器症状を訴える患者さんについて、診断をつけるのに詳細な検査が必要と判断した場合は、腹部超音波(腹部エコー)や胃カメラ、大腸内視鏡による検査を行っています。

腹部超音波検査とは

腹部超音波検査のイメージ写真

超音波とは、人の耳では聴くことができない高い周波数の音波になります。
これを検査で調べたい部位に当てることで跳ね返ってくる反射波(エコー)を超音波診断装置が分析することで、調べたい部位をリアルタイムで観察することができるようになるのが超音波検査です。
現在では、血管、甲状腺、筋肉などの体の表面にある臓器から、内臓まで様々な部位を超音波で検査できるようになっていますが、当院では主に、消化器症状(腹痛、腹部不快感、食欲低下 など)を訴える患者さんに対し腹部超音波検査(腹部エコー)を行っています。
また、近年では、機械の性能が向上したことで、胃、大腸、小腸等の観察も可能となってきており、当院でも積極的に行い、内視鏡検査の必要性を判断するなどに利用しています。

腹部超音波検査で発見される事がある主な病気

  • 脂肪肝
  • 肝硬変
  • 肝がん(肝腫瘍)
  • 胆石症
  • 胆のうポリープ
  • 慢性膵炎
  • 膵がん(膵腫瘍)
  • 腎結石(尿路結石)
  • 前立腺肥大、など

検査時の注意点

食事をした状態で行うと、画像が不鮮明になる可能性があるため基本的には絶食で検査を受けていただきます。
検査台の上に仰向けになり、検査をする部位にゼリーを塗って、探触子(プローブ)を腹部に押し当て、臓器(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓)の様子を観察していきます。
検査部位によって、横向きや座位になっていただきます。検査時間は10分程度です。

尚、超音波検査では、レントゲン撮影やCT(コンピュータ断層撮影)検査のようにX線を使用しないので放射線被爆をすることはありません。
また検査時に痛みが伴うということもありません。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は肛門より直径1cm程の内視鏡を盲腸まで挿入し、大腸全体を観察して、癌、ポリープ、炎症などの病変がないかをチェックする検査です。ポリープについては切除可能なものについては同時に切除を行います。

以下のような指摘を受けた、あるいは症状があるという方は、大腸内視鏡検査をお勧めします

  • 大腸がん検診などで便潜血陽性を指摘された
  • 以前大腸ポリープを切除した(特にポリープを切除された翌年には一度検査をお勧めします)
  • 血便がある
  • 長年便通異常を自覚している

以上のような訴えのある患者さんには、状況をよくお伺いした上で大腸内視鏡検査をお勧めしています。特に大腸がんの罹患率が増える50歳以上の方で、便潜血陽性であった方は放置せず、内視鏡検査を受けられることをお勧めしています。

大腸内視鏡検査の流れ

  • 検査前日は午後9時ごろまでに消化の良いものを中心とした食事を済ませていただきます。
  • 当日朝は絶食で来院していただきますが、水分の摂取は可能です。飲み薬については別途指示しますので、従ってください。
  • 当院来院後、1.5L〜2L程の液体の下剤を内服していただき大腸の中の便を出し切っていただきます。2Lというとかなりの量に思えますが、コップ1杯を15分ほどで、合計1時間半程かけて無理のないペースでゆっくり飲んでいただきます。
  • 便が完全に透明になったのち、検査着に着替えていただき、検査室へ移動していただきます。(通常12時以降の検査開始になります。)
  • その後、肛門から内視鏡を挿入し大腸全体を観察。ポリープ等あればその場で切除もしくは細胞の検査なども行います。
  • 検査終了後、着替えていただいたのち別室で結果説明を行います。細胞の検査などを行った場合は、後日結果説明の予定をいたします。また、ポリープ切除を行なった場合、出血の危険がありますので1週間アルコールを控えて下さい。

食の欧米化に伴い、日本人の大腸がんの罹患数は年々増加していますが、早期発見できるかどうかがその後の予後を大きく左右します。症状のある方、検診で便潜血陽性を指摘された方は、放置せず一度お気軽にご相談ください。

大腸ポリープ手術(コールドポリペクトミー)

従来、大腸ポリープ切除(ポリペクトミー)はスネアと呼ばれる輪状のワイヤーでポリープを縛り高周波(電気メス)を用いて通電することで行っていましたが、傷口がやけど状になるため、治療が終了した段階では出血がないにもかかわらず、数日後に出血や穿孔(大腸に穴があくこと)することが1%程度あるとされていました。

コールドポリペクトミーは数年前より注目されている高周波を使用しない新しい切除方法です。10mm以下の癌の疑いのない良性ポリープが対象になり、出血、穿孔の危険性も従来のポリペクトミーと比べかなり少なく、腸に優しい切除方法です。当院でも10mm以下の良性ポリープについてはコールドポリペクトミーにて切除を行っています。

ポリープのサイズや形態によっては専門施設での切除が望ましい場合もありますので、その際はご相談の上、ご希望の専門施設へ紹介させていただきます。

胃カメラ

胃カメラのイメージ写真

一般的に胃カメラと呼ばれていますが、正式には上部消化管内視鏡検査と言います。
細長いチューブの先に超小型カメラ(CCD)を口もしくは鼻腔から挿入して、食道、胃、十二指腸などの内腔の様子をリアルタイムに観察した上で撮影します。
また、病変が疑われる場合、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検を行うことがあります。検査時間は10分程度です。

以下のような指摘を受けた、あるいは症状があるという方は、胃カメラ検査をお勧めします

  • みぞおちの周辺が痛む
  • 胃の不快感・胸やけ・喉または胸のつかえを感じる
  • 吐き気・嘔吐の症状が度々ある
  • 体重が急激に減少している
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返している
  • 家族が胃がん・食道がんにかかったことがある
  • バリウムによる胃の検診で異常を指摘された など

胃カメラによる検査で発見される事がある主な疾患

  • 逆流性食道炎
  • 食道がん
  • 胃炎
  • 胃ポリープ
  • 胃潰瘍
  • 胃がん
  • 十二指腸潰瘍 など

経鼻内視鏡

胃カメラ(上部消化管内視鏡)には口から内視鏡を挿入するタイプの経口内視鏡と鼻から内視鏡を挿入するタイプの経鼻内視鏡の2種類がありますが、当院は経鼻内視鏡を採用しています。

先端部の径が約6mmの細径内視鏡を左右のいずれかの鼻孔から挿入して検査します。
経鼻内視鏡の利点としては、検査時にチューブが舌の根に触れることがないので、経口内視鏡では起きやすいとされる嘔吐反射(えずく行為)は起きにくいと言われています。そのため、苦痛軽減のために利用する鎮静剤を使用しなくても検査を受けることもできます(希望する方には鎮静剤を投与します)。
また検査中は口呼吸になるので、医師との会話も可能です。

なお、鼻腔が狭い、鼻の違和感があり耐えられない、鼻に疾患(アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎 など)がある等一部の患者さんで経鼻内視鏡検査が困難な場合があり、その際は、この細い内視鏡を用いた経口内視鏡による検査をお勧めしています。

胃カメラ検査を受ける際は、まず日時の予約をしていただきますます。それと同時に血液検査を必要に応じて行います。
このほか、医師およびスタッフが、検査前、検査当日、検査後についての注意点などを説明していきます。
なお一部の内服薬で、検査前に出血の危険性がある等、休薬が必要になる場合がありますので、常用薬があるという方は事前に医師へお申し出ください。