花粉症のお薬②

前回に引き続き花粉症のお薬の話題です。

前回、花粉症のお薬の世代についてお話ししましたが、ではその中で、どんなことを考えながら、お薬を選んだら良いのでしょう?

まず初めに、どんな病気にも当てはまることかもしれませんが、「最強の薬」というものは存在しません。それぞれの薬にそれぞれの良いところがあり、役割があります。その中で、「使いやすい薬」「結果(効果)が実感しやすい薬」があるというのが僕の認識です。花粉症の薬に当てはめると、やはり、眠気や注意事項が少ない薬が「使いやすい薬」だと思います。。

👆の表で自動車運転制限の欄があると思いますが、これは添付文書(医師や薬剤師が確認する薬の取扱説明書のようなものです。)に「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること」と書いてあるか否かです。つまり「有」のお薬は比較的眠気が出やすいと考えられます。眠気に注意しなければならない方はこの欄が「無」のお薬から選ぶと、それほど眠気を感じずにすむことが多いです。

もう一つ考えないといけないことは、「効果が出なければ意味がない」という事です。副作用が少ないことより、本来の目的である鼻水や、目の痒みといった花粉症の症状を改善することが重要です。効果については様々な意見があるとは思いますが、やはり新しい薬は、以前の薬に加え何らかの付加価値が与えられて誕生している薬がほとんどです。個人差はあるものの、効果が実感しやすい上に、副作用も随分と抑えられているものが多いです。とにかく症状を抑えたい場合は、5年以内に発売されているデスロタラジン(デザレックス®︎)、ルパタジン(ルパフィン®︎)、ビラスチン(ビラノア®︎)から選択して行くと結果が出やすい印象です。

では新しい薬のデメリットは何でしょうか? それはズバリ「薬剤費」です。花粉症は季節性の病気とはいえ、スギ、ヒノキだけでも3ヶ月ほど、更にイネ、ブタクサなども含めると数ヶ月単位でお薬が必要になり、健康保険が適応されているとはいえ、お薬代が馬鹿になりません⤵︎。 後発品(ジェネリック医薬品)が存在する薬であれば、薬剤費が比較的安く抑えられるため、十分な効果が出ている患者さんには必ずしも新しいお薬は必要ないのではないかと僕は考えています。

花粉症治療を進めていく上で、どのお薬が一番良いかは「効果」「費用」「副作用」をバランスよく考えることが重要だと思います。更に、点眼薬、点鼻薬を組み合わせることで、それぞれの症状を狙って👀抑えていきます。。

花粉症でお悩みの方はお気軽にご相談くださいね(^_-)

花粉症のお薬①

院長です。。

3月も中旬を過ぎ、スギ花粉の飛散量が増えつつありますね。当院でも花粉症のご相談を受けることが増えてきました。僕自身、アレルギーの専門家ではありませんが、ご相談には正しくお答えできる準備はしておきたいですし、「自分が自信をもって勧められる治療やお薬を患者さんにも提供したい!!」という思いはどんな疾患でも変わらず持ち続けています。

花粉症の患者さんが訴えられる内容は様々ですが、ご要望は大きく分けて、「そろそろ症状がでてきたので、毎年飲んでいる〇〇が今年も欲しいです」、「〇〇を飲んでいますが、効果が今ひとつなので他に良い薬はないでしょうか?」が多いように思います。実際花粉症の薬はどのようなものがあり、どのように選択するのが良いのでしょうか? 僕の知識を整理する意味でも、今一度考えてみることにしました(^。^)

花粉症に対して、主に使われている薬は、第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプのお薬です。👆に1990年以降に発売された第二世代と呼ばれるタイプの抗ヒスタミン薬をまとめてみました。(1990年以前発売の第二世代抗ヒスタミン薬は、僕が普段処方しているものが含まれていないため省略しています。)

第二世代というからには第一世代もあり、ジフェンヒドラミン(®レスタミンコーワ)、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(®ポララミン)、シプロヘプタジン塩酸塩(®ペリアクチン)等です。これらは、現在も処方を見かけますし、市販の風邪薬、アレルギーの薬の一部に含まれていますが、特徴としては、アレルギー症状を抑える作用としては比較的強い反面、眠気、口の乾き等の副作用も強く出ます。「昔強い薬を出してもらったら眠気と口の乾きがひどかったので、弱い薬でいいです」と言われる患者さんもみえますが、詳しく伺うとこのタイプの薬が処方されていることが多い印象です。そのため、最近では花粉症等の鼻アレルギーに対しては第一世代の抗ヒスタミン薬はガイドライン上も推奨されていません。

第二世代の抗ヒスタミン薬は、眠気等の副作用が軽減され、アレルギー症状を抑える効果はしっかり得られることが特徴です。「アレルギーを抑える強さ≠眠気などの副作用の強さ」ではなくなっており、僕も外来では、第二世代の抗ヒスタミン薬から、患者さんの症状、状況に応じて、薬を選んでいます。市販のOTC医薬品で花粉症対策をされている場合も、できるだけ第二世代抗ヒスタミン薬から選んでいくのが良いでしょう。。。

次回は薬を選ぶ基準等をもう少し詳しく説明したいと思います。