感染性腸炎について。

 急激に暑くなってきましたが、皆様体調を崩されたりしていませんか?💦
最近、下痢や吐き気などの胃腸炎症状のご相談が増えています。
 実はこの時期、感染性腸炎に注意が必要です。下痢、吐き気などの症状で病院を受診され、「胃腸風邪ですね」とか「(急性)胃腸炎ですね」等と診断された経験がある方も多いと思います。このような場合、感染性腸炎が疑われていることになります。


 感染性腸炎には、主にウィルス感染により、小腸に炎症を伴う小腸型、細菌感染により大腸に炎症を伴う大腸型が存在します。
 ウィルス感染による小腸型の場合、多くは吐き気止め、整腸剤等を服薬する対症療法にて3日ほどで症状が改善することが多いですが、ノロウィルス等による症状が強いタイプの感染症で脱水が目立つ場合は、点滴治療が必要になります。
 細菌感染による大腸型も自然に症状が治まる方もみえますが、サルモネラ、カンピロバクターによる腸炎の場合、発熱、下痢症状が強いことがあり、抗菌薬の投与が必要になる場合もあります。特に、これから夏にかけての気温が高くなる時期、卵、鶏肉等の不十分な加熱により感染する危険性が増えるため、注意が必要です。
 当院では、吐き気、下痢症状に対しても、腹部の超音波検査を活用し、炎症を起こしている部位(感染部位)を特定し、小腸型、大腸型のいずれかを判断します。その上で症状の強い大腸型の患者さんに対してのみ、抗菌薬を投与する方針としています。この様に超音波検査を活用する事で、不必要な抗菌薬投与を避け、尚且つ症状の強い患者さんができるだけ早く回復できるような治療を提供できるのではと考えています。
 辛い吐き気、下痢などの胃腸炎症状でお困りの際は、早めにご相談ください。( ͡° ͜ʖ ͡°)

インフォームドチョイス

 急激に寒い日が増え、体調を崩しやすい季節になりました。皆様お変わりないでしょうか?
 先日、ある病気の情報を見ていたところ「インフォームドチョイス」という言葉を目にしました。「インフォームドコンセントは聞いたことあるけど?」という方も多いのではないでしょうか。恥ずかしながら、私も初めて聞きましたが、調べてみると非常に共感が持てる考え方でしたのでインフォームドコンセントとの違いも含めて紹介します。(^。^)

インフォームドコンセント

 今では、耳にしたことがある方も多いと思いますが、日本では「説明と同意」という言葉で表現されています。病状、検査、治療の内容を医師や、看護師から十分な説明を受け十分納得した上で医療行為に対し同意をすることです。丁度私が高校生の頃に耳にするようになり、大学入学試験の前に「面接で話題になる可能性が高いから覚えるように」と先生に言われた記憶があります。自分が受ける医療行為について説明を受けるのは当然の権利ですし、納得した上で医療行為を受ける事で不安感が減り、治療に対する意欲が向上、結果として治療効果が高くなると言われています。

インフォームドチョイス

 最近では、病状に対して治療方法に複数の選択肢があることも珍しくありません。インフォームドチョイスとは、病状に対する複数の選択肢それぞれについて、メリット、デメリットの説明を受けた上で治療方法を選択することです。例えば、「あなたの今の状態はAという病気だと思います。治療方法は薬で治療する方法、手術をする方法があり、薬だと通院での治療になり3ヶ月ほどの治療期間がかかります。手術ですと2泊3日の入院が必要ですが、退院後よりすぐに仕事に復帰できます。ただ、どうしても治療しないといけない病気ではないため、痛みなどがなければこのまましばらく治療せず様子見るのも一つの選択肢ではないでしょうか?」と説明を聞き、よく考えた上で、手術する方法を選ぶといった形です。医療者側からの一方的な押しつけではなく、患者さん一人ひとりが、複数の治療選択肢に対し、効果、副作用、危険性、治療期間、医療費などの違いについて理解した上で、より御自身の希望に近い方法を選択することができるのが、この方法の良い面だと思います。

 重要なことは、インフォームドコンセントもインフォームドチョイスも主役は患者さんであることです。時々若い医師が「いまから、BさんのIC(インフォームドコンセント)してきます」と言っているのを見かけますが、大きな間違いで、この場合、インフォームドコンセントをするのは医師ではなく、Bさんなのです。

 すべての選択肢を提示することはなかなか難しいですし、逆に選択肢が多すぎると決められないという問題があります。それでも可能な限り様々な選択肢をお示しすることは、患者さんが主役の医療を提供するためには大切なことだなぁと感じました。

これからも様々な選択肢を提供できるよう、私も常に新しい知識を更新していきたいと思っています。皆様も、何かご不明な点はお気軽にご質問くださいね!( ◠‿◠ )

肛門周囲の皮膚トラブルについて

こんにちは。

なかなか更新できないうちに、もう梅雨☔️の季節。蒸し暑い日々が続きますね。当クリニックでは、日々感染対策を行いながら診療を行なっていますが、防護服を着て屋外に出ると1分もしない間に汗びっしょりになります(^^;;


今回は最近ご相談が増えている、お尻、肛門周囲の皮膚トラブルのお話です。。
「お尻、肛門のあたりが痒い、ピリピリする。」このような症状でご相談をいただく方に認められるのが、肛門周囲皮膚炎です。下着などでの機械的刺激や、汗・腸液などでの蒸れ、ウォシュレットでの洗い過ぎなど様々な原因で発症しますが、特に今の時期は汗が原因で起こる湿疹が多く見られます。治療は原因、皮膚の状態によって異なりますが、一般的にはステロイド等のアレルギー反応を抑える軟膏や保湿剤、傷がある場合は皮膚を保護する塗り薬を使用します。
 また、カビ(真菌)やたむし(白癬菌)等の感染が原因のこともあり、皮膚の状態を診て外用薬を使い分けることが大切になります。
 このように、適切な外用薬を使用することで症状が改善する事がほとんどです。ご自分では直接見ることが難しい部位です。お困りの場合はどうぞ気軽にご相談下さい🎶

便潜血について

本年度も5月より特定健診、各種がん検診が始まります。何気なく受けた検診で要精密検査となり、不安💧になられる方も多いと思います。

今回はその中から、大腸がん検診で行っている便潜血検査についてお話ししたいと思います。

大腸がんは50歳台から増加し始め、年齢が高くなる程多くなるとされています。研究結果によると1日法による大腸がん検診(現在は2日法が一般的です)を毎年受けることで、大腸がんでの死亡率が60%減るとされています。まずは毎年しっかり便潜血検査を受けることが大切ですね!!

では、万が一便潜血検査の結果、陽性となった場合はどうしたら良いのでしょう?

便潜血陽性の方に対し、当院では👆の表の流れで検査をお勧めしています。

便潜血陽性の方から大腸がんが見つかる確率は3%程と言われています。痔や、腺腫性ポリープ(大きくなると癌になる可能性があるポリープです。)が見つかる確率は40〜50%程度と言われており、決して、便潜血陽性=大腸がんではありません。しかし、ポリープなどが見つかる確率を考えると、便潜血陽性であった場合は大腸内視鏡検査を受けることを強くお勧めします。「来年の便潜血検査で引っ掛かったら病院に行こうかな?」と考えられている方もみえるかもしれませんが、万が一癌があった場合は進行する危険があります。ポリープの場合も翌年までに大きくなり、日帰りで切除できなくなる可能性もあるため、必ず病院で相談されることをお勧めします。

大腸内視鏡検査を受けた後は表にあるように、がんの疑いがなかった場合はまた翌年から便潜血検査による大腸がん検診を受けていただければ問題ありません。また、ポリープもしくは早期の大腸がんが発見された場合は、日帰りでの内視鏡治療を行い、その後は翌年に内視鏡の検査をお勧めしています。その上で新たなポリープ、早期がんが発見されなければ、翌々年から便潜血検査での検診に戻っていただければ良いのではないかと考えています。

新型コロナウィルスによる感染が中々収束せず、昔のような日常生活が取り戻せない日々が続いていますが、そんな今だからこそ積極的に健康診断、がん検診を受け「入院しなくても良い身体」を保つことが大切です。当院でも4月から大腸内視鏡検査を受けていただくことが出来るようになりました。まずはお気軽にご相談ください╰(*´︶`*)╯

花粉症のお薬②

前回に引き続き花粉症のお薬の話題です。

前回、花粉症のお薬の世代についてお話ししましたが、ではその中で、どんなことを考えながら、お薬を選んだら良いのでしょう?

まず初めに、どんな病気にも当てはまることかもしれませんが、「最強の薬」というものは存在しません。それぞれの薬にそれぞれの良いところがあり、役割があります。その中で、「使いやすい薬」「結果(効果)が実感しやすい薬」があるというのが僕の認識です。花粉症の薬に当てはめると、やはり、眠気や注意事項が少ない薬が「使いやすい薬」だと思います。。

👆の表で自動車運転制限の欄があると思いますが、これは添付文書(医師や薬剤師が確認する薬の取扱説明書のようなものです。)に「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること」と書いてあるか否かです。つまり「有」のお薬は比較的眠気が出やすいと考えられます。眠気に注意しなければならない方はこの欄が「無」のお薬から選ぶと、それほど眠気を感じずにすむことが多いです。

もう一つ考えないといけないことは、「効果が出なければ意味がない」という事です。副作用が少ないことより、本来の目的である鼻水や、目の痒みといった花粉症の症状を改善することが重要です。効果については様々な意見があるとは思いますが、やはり新しい薬は、以前の薬に加え何らかの付加価値が与えられて誕生している薬がほとんどです。個人差はあるものの、効果が実感しやすい上に、副作用も随分と抑えられているものが多いです。とにかく症状を抑えたい場合は、5年以内に発売されているデスロタラジン(デザレックス®︎)、ルパタジン(ルパフィン®︎)、ビラスチン(ビラノア®︎)から選択して行くと結果が出やすい印象です。

では新しい薬のデメリットは何でしょうか? それはズバリ「薬剤費」です。花粉症は季節性の病気とはいえ、スギ、ヒノキだけでも3ヶ月ほど、更にイネ、ブタクサなども含めると数ヶ月単位でお薬が必要になり、健康保険が適応されているとはいえ、お薬代が馬鹿になりません⤵︎。 後発品(ジェネリック医薬品)が存在する薬であれば、薬剤費が比較的安く抑えられるため、十分な効果が出ている患者さんには必ずしも新しいお薬は必要ないのではないかと僕は考えています。

花粉症治療を進めていく上で、どのお薬が一番良いかは「効果」「費用」「副作用」をバランスよく考えることが重要だと思います。更に、点眼薬、点鼻薬を組み合わせることで、それぞれの症状を狙って👀抑えていきます。。

花粉症でお悩みの方はお気軽にご相談くださいね(^_-)

花粉症のお薬①

院長です。。

3月も中旬を過ぎ、スギ花粉の飛散量が増えつつありますね。当院でも花粉症のご相談を受けることが増えてきました。僕自身、アレルギーの専門家ではありませんが、ご相談には正しくお答えできる準備はしておきたいですし、「自分が自信をもって勧められる治療やお薬を患者さんにも提供したい!!」という思いはどんな疾患でも変わらず持ち続けています。

花粉症の患者さんが訴えられる内容は様々ですが、ご要望は大きく分けて、「そろそろ症状がでてきたので、毎年飲んでいる〇〇が今年も欲しいです」、「〇〇を飲んでいますが、効果が今ひとつなので他に良い薬はないでしょうか?」が多いように思います。実際花粉症の薬はどのようなものがあり、どのように選択するのが良いのでしょうか? 僕の知識を整理する意味でも、今一度考えてみることにしました(^。^)

花粉症に対して、主に使われている薬は、第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれるタイプのお薬です。👆に1990年以降に発売された第二世代と呼ばれるタイプの抗ヒスタミン薬をまとめてみました。(1990年以前発売の第二世代抗ヒスタミン薬は、僕が普段処方しているものが含まれていないため省略しています。)

第二世代というからには第一世代もあり、ジフェンヒドラミン(®レスタミンコーワ)、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩(®ポララミン)、シプロヘプタジン塩酸塩(®ペリアクチン)等です。これらは、現在も処方を見かけますし、市販の風邪薬、アレルギーの薬の一部に含まれていますが、特徴としては、アレルギー症状を抑える作用としては比較的強い反面、眠気、口の乾き等の副作用も強く出ます。「昔強い薬を出してもらったら眠気と口の乾きがひどかったので、弱い薬でいいです」と言われる患者さんもみえますが、詳しく伺うとこのタイプの薬が処方されていることが多い印象です。そのため、最近では花粉症等の鼻アレルギーに対しては第一世代の抗ヒスタミン薬はガイドライン上も推奨されていません。

第二世代の抗ヒスタミン薬は、眠気等の副作用が軽減され、アレルギー症状を抑える効果はしっかり得られることが特徴です。「アレルギーを抑える強さ≠眠気などの副作用の強さ」ではなくなっており、僕も外来では、第二世代の抗ヒスタミン薬から、患者さんの症状、状況に応じて、薬を選んでいます。市販のOTC医薬品で花粉症対策をされている場合も、できるだけ第二世代抗ヒスタミン薬から選んでいくのが良いでしょう。。。

次回は薬を選ぶ基準等をもう少し詳しく説明したいと思います。