超音波と私③

 🎍新年あけましておめでとうございます。年末から発熱外来のお問い合わせが爆発的に増えた印象です。開業3年目にして、インフルエンザ患者さんもちらほら見受けられるようになりました。2023年も初心を忘れず、感染対策に留意しながら、日々の診療にしっかり取り組んで参りたいと思います。。

さて、前回の続きです。小難しい話になりますが、よかったらお付き合いください〜=(^.^)=

3年目になり、肝細胞癌の治療チームに配属されてからは、より超音波との関わりは増え、上司の先生が5mmの腫瘍を描出する姿を見て自分の技術の未熟さを日々実感しました。その後、超音波検査の件数を重ねると共に、こんな私でも見つけられる腫瘍が少しずつ増え、肝細胞癌の治療を行わせてもらえるようになりました。更に、新しい超音波造影剤の登場、CT画像を用いたGPS機能を搭載した機種の登場などによって、新たな超音波検査の方法が増えた時期でもあったので、超音波検査がどんどん楽しくなり、意欲的に取り組み、知識と経験を積み重ねて参りました。
 次の転機は10年目になる頃だったと思います。その後も、毎年超音波関連の学会、講習会には参加していたのですが、その頃から超音波検査機器が急速に進歩し、それまでの機種とは明らかに違う画像が得られるようになりました。それとともに、それまではあまりはっきりとした画像が得られなかった、胃、少腸、大腸といった消化管の画像が撮影可能になり、講習会等でも取り上げられるようになったのですが、その頃に教わった「診断仮説(今の症状の原因はこれではないかと言う仮説)をもとに、それが妥当か超音波で所見を取っていく」という今までにはない診断方法(画像を見て何だろうと考えるCTとは真逆の方法)に、どハマりしました。この方法を取り入れてからは超音波だけではなく、普段の診療においてもより鑑別診断(患者さんの訴えている症状から考えられる病気をリストアップして一つ一つ可能性を検討して正しい診断にたどり着く方法)を深く考えるようになりました。そのお陰か、鉛中毒、好酸球性胃腸炎といったの珍しい疾患を診断出来たときは、かなり嬉しかった覚えがあります。


 クリニックを開業し、一次診療に携わるようになってからは、超音波検査が役に立つ場面は更に増え、毎日来院される腹痛患者さんを始め、最近では皮膚腫瘤等の表在臓器の観察にも挑戦しています。腹部の検査も毎日行っていると、潰瘍性大腸炎などの特別な治療をする必要がある病気や、初診の日に発見した膵蔵癌等、「検査しておいてよかったな」と思うことが増えています。患者さんの訴えを聞いて、触診、聴診だけで診断ができるスキルも大切なのですが、更に超音波でお腹の中を観察しているわけですから、いわば診断の答えを一部カンニングしているようなものです。当然、問診、触診、聴診で想像した病気とは異なることも多々あり、結果的に正しい診断まで短時間でたどり着いているのではないかと考えています。
 現在当院で使用しているエコーの機種はCanon製Aplio a/Verifiaで、通常のクリニックで導入する機種としてはかなりグレードが高い機種になります。(その影響で大腸内視鏡を買う予算が足りず…💦我慢しました。なので、大腸の内視鏡検査は開業当初からはやっていなかったのです)

かなり性能の良い機種ですので、精密検査にも耐えうる画像が得られ、現状は非常に満足していますが、5-6年後にはもっと上位の機種が欲しくなって、妻と「この機種買うと新しい車買えないけど・・・」「仕方ないよね、車は我慢して新しいエコー買おう」なんて会話をしている気がしてなりません。私がハマった超音波の沼はまだまだ深そうです。♪( ´▽`)